ベトナムの EOR と PEO:何が違うのか

ベトナムへ広げるとき、多くの外国企業が名前のよく似た二つの形に出くわします。
記録上の雇用主(EOR)と専門雇用組織(PEO)です。
宣伝資料ではこの二語が入れ替えて使われがちですが、ベトナムでは EOR と PEO は同じではありません。とくに現地法人がまだない場合、選択を誤ると順守と労働法の重いリスクに会社をさらすことになります。
本稿はベトナムにおける EOR と PEO の要となる違い、それぞれが法的にどう働くのか、そして自社にはどちらが向くのかを説明します。
手短な答え:ベトナムの EOR と PEO
| 観点 | 記録上の雇用主(EOR) | 専門雇用組織(PEO) |
|---|---|---|
| 法律上の雇用主 | EOR | 御社のベトナム法人 |
| 現地法人が要るか | ❌ 不要 | ✅ 必要 |
| 雇用契約に署名するのは | EOR | 御社 |
| 給与と税務の責任 | EOR | 御社(支援を受けつつ) |
| 労働法上の責任 | EOR | 御社 |
| 向く場面 | 市場参入、遠隔での採用 | 根を張った現地法人 |
📌 ベトナム法人がないなら、PEO は成り立つ採用の手段ではありません。
ベトナムの記録上の雇用主(EOR)とは
記録上の雇用主(EOR)とは、御社に代わって従業員の法律上の雇用主になるベトナムの会社です。
EOR はどう働くか
- EOR が自社の法人で従業員を雇います
- 雇用契約には EOR が署名します
- EOR が給与、税務、保険、労働法の順守を担います
- 御社は日々の業務、目標指標、業績の管理を握ったままです
この形なら外国企業は会社を設けずにベトナムで適法に採用できます。
ベトナムの PEO とは
専門雇用組織(PEO)は、すでにベトナムで登録された法人を持つ会社にだけ人事と給与の支援を提供します。
PEO はどう働くか
- 御社が法律上の雇用主のままです
- 従業員は御社のベトナム法人と直接契約します
- PEO は次を手伝います:
- 給与の処理
- 人事の事務
- 順守の支援
- 法務と労働法の責任は御社に残ります
📌 ベトナムでは PEO は法的な意味での共同雇用主ではありません。
この違いがベトナムで効く理由
米国のような一部の国では、PEO は共同雇用の形で動きます。
ベトナムは共同雇用を認めていません。
つまりこういうことです。
- 法律上の雇用主はひとつだけ存在します
- その雇用主が労働法上の責任をすべて負います
- 人事を外に委ねても法的な責任は移りません
この区別の取り違えは、外国企業がやりがちな最も多い順守上の誤りのひとつです。
ベトナム法人なしで PEO を使うときの法的リスク
ベトナム法人のない外国企業が PEO を使おうとすると、こうなります。
- 雇用契約が無効になりかねません
- 給与と税務の届出が規則に合わないことがあります
- 従業員が違法に雇われているとみなされかねません
- 当局が過料や処分を科すことがあります
📌 この構えはベトナムでは法的に守れません。
順守とリスクの比較
記録上の雇用主(EOR)
- ✅ EOR が法律上の雇用主です
- ✅ 契約はベトナムの労働法に十分に沿います
- ✅ 給与と法定保険が正しく処理されます
- ✅ 労働紛争での露出が減ります
- ❌ 直接の法的な支配は小さくなります(仕組み上そうなります)
専門雇用組織(PEO)
- ❌ 労働法のリスクを御社が負います
- ❌ 社内に強い人事と法務の目が要ります
- ❌ 紛争や調査のときの露出が大きくなります
- ✅ 成熟した現地法人にだけ向きます
費用の比較
EOR の費用の構え
- 従業員の総支給額
- 雇用主の法定拠出
- 月額の EOR 業務手数料
📌 ひとり当たりの手数料は高めですが、法人設立、会計、監査の費用がありません。
PEO の費用の構え
- 月々の業務手数料は低めです
- ただし次の費用は依然かかります:
- 会計と税務の順守
- 年次監査
- 法務と人事の管理費
📌 小さな組織では、表向きの手数料が低くても PEO のほうが総額で高くつくことがよくあります。
どちらを選ぶべきか
こんなときは EOR
✔ ベトナム法人がない
✔ 早く採用したい
✔ ベトナム市場を試している
✔ 順守のリスクを最小にしたい
✔ 後で法人へ移る計画がある
こんなときは PEO
✔ すでにベトナム法人がある
✔ 人事と給与の支援が要る
✔ 社内に法務と順守の体制がある
✔ 大きめの組織を育てている
外国企業がよくやる誤り
❌ PEO があれば法人は要らないと考えること
❌ PEO が雇用主の責任を分担すると信じること
❌ 費用だけで選ぶこと
❌ 海外の PEO の定義をそのままベトナムに当てはめること
これらはたいてい労働紛争や調査のさなかに表に出て、そのときにはもう直すのに費用がかかります。
賢い拡大の道筋:EOR から PEO、そして内製へ
多くの企業が段階を踏む形をとります。
1️⃣ 市場参入はEOR で始める
2️⃣ ベトナム法人を設ける
3️⃣ 人事と給与にはPEO の支援を使う
4️⃣ 時間をかけて社内の人事機能を築く
この形はリスクを抑えつつ、長期の柔らかさも残します。
BusinessPartner.vn は両方の形を支援します
BusinessPartner.vn は外国企業を次のように支えます。
- 記録上の雇用主を通じた適法な採用
- 法人設立への滑らかな移行
- PEO 型の人事と給与の支援
- 成長のどの段でも順守を保つこと
- ベトナムの労働法への露出を減らすこと
👉 当社のベトナム採用アドバイザーにご相談いただき、展開に合う形をお選びください。


