ベトナム新設法人の人事・給与立ち上げ:最初の60日

ライセンスが下り、銀行口座が開き、最初の社員が月曜日から出社します。ちょうどその時点で、多くの外資系企業は、ベトナムで人を雇うことがひとつの作業ではなく十件ほどの作業であり、そのいくつかは誰かが規定を読んだ日ではなく契約に署名した日から期限が数えられることに気づきます。
以下は最初の60日の流れを、実際に義務が到来する順に並べたものです。
最初の契約の前に:三つの決定
誰かと署名する前にこの三点を決めてください。いずれも後から変えるのは厄介です。
- 契約の類型。ベトナム法は期間の定めのない契約と、36か月以内の有期契約を認めています。有期契約は原則として一度しか更新できず、その後は法律上当然に期間の定めのない関係になります。「全員を一年契約で回し続ける」という計画は、法が認めていない計画です。
- 試用期間の長さ。上限は職務によって異なります。企業の管理者が最も長く、大学卒業以上の資格を要する職はそれより短く、技術職はさらに短く、単純作業は数営業日にとどまります。試用期間中の賃金は合意賃金の85パーセント以上でなければならず、試用の条件は別文書ではなく労働契約の中に置くことができます。
- グロスかネットか。ベトナムの候補者は手取り額で交渉することが多いです。ネットで合意すれば税と保険のリスクを会社が引き受けることになり、料率が変わるたびにその負担は使用者に降りかかります。グロスで合意し、控除の中身をきちんと説明してください。一度の難しい会話が、その後ずっと楽な給与業務をつくります。
1日目から30日目:契約日から起算される登録
最初の契約は、いくつもの時計を同時に動かします。
| 義務 | 期限 | 後で効いてくる理由 |
|---|---|---|
| 社会保険・健康保険・失業保険の登録 | 最初の労働契約の効力発生から30日以内 | 登録が遅れると、登録日ではなく契約日から計算された遡及保険料と利息が発生します |
| 管轄労働当局への労働者使用の届出 | 雇用開始の直後、以後は定期的に | 最初の立入検査で指摘されやすい項目です |
| 従業員の個人所得税登録 | 最初の給与計算の前 | 税番号と扶養家族の登録がないと初月から源泉徴収が狂い、年次確定でほどき直すことになります |
| 労働組合基金 | 毎月、保険料と同時に | 自社に組合があるかどうかにかかわらず、保険算定賃金総額に対して納付します。企業が丸ごと見落とす筆頭の項目です |
| 就業規則 | 人員が法定基準に達した時点で登録 | 登録された就業規則がなければ、懲戒解雇を正当化するのは極めて困難です |
お金が動くのは算定基礎です
社会保険・健康保険・失業保険の使用者負担は契約賃金の上に約五分の一を加え、従業員はさらに自分の賃金から十分の一ほどを負担します。料率は公表されており予測できます。予測できないのは算定基礎です。
保険料は支給した現金の総額ではなく、賃金に一定の固定手当を加えた額を基礎に計算されます。どの手当が基礎に含まれるかは実額を伴う技術的な論点であり、当社が目にする遡及調整の最も多い原因でもあります。さらに、基準賃金と地域別最低賃金に連動した上限があるため、保険料は賃金に応じて無限に上がるわけではありません。
実務上の要点。給与パッケージの構造は、十人目の採用の後ではなく最初の採用の前に決めてください。細かい手当に分割した賃金は初月こそ安く見えますが、検査官がその手当のいくつかは初めから算定基礎に含まれるべきだったと判断した瞬間、複数年にわたる是正作業になります。
30日目から60日目:雇用関係を守れるようにする書類
ベトナムの雇用関係は書類で守ります。そしてその書類は、紛争が起きた後ではなく起きる前に存在していなければなりません。
- ベトナム語で署名した契約書を双方が一部ずつ保管します。二言語併記の契約書は問題ありませんが、英語のみの契約書は居心地のよい状態ではありません。
- 賃金テーブルを事業所の労働者代表組織と協議して作成し、等級付けと昇給に一貫して用います。
- 職務記述書を契約上の役職名と一致させます。与えられた業務を遂行できないことを理由とする解雇には、与えられた業務が何であったかの記録が前提となるからです。
- 就業規則に労働時間、行動、秘密保持、懲戒手続を定め、必要な場合は登録します。
- 勤怠と休暇の記録を初日から残します。年次有給休暇は開始時点から発生し、記録のない一年は誰かが退職するときに現金債務になります。
給与業務そのもの:月次サイクル
いったん仕組みができれば月次の流れは単純です。勤怠と変動給を集め、グロスからネットを計算し、保険料と組合基金を納付し、個人所得税を源泉徴収して申告し、給与を支払い、給与明細を発行します。ベトナムの従業員は控除の内訳が見える明細を期待します。説明のない手取り額ほど人事に質問を生む慣行はありません。
新規進出企業がつまずく点が二つあります。第一に、個人所得税の申告は申告区分に応じて月次または四半期であり、支払った従業員について年次の確定が続きます。第二に、保険料は毎月納付して人員報告と突き合わせるため、入社・退社・賃金変更はその都度届け出る必要があり、年末にまとめることはできません。
外国人従業員は別トラックになります
外国人の採用は、内国人採用の変形ではなく、より早く始めなければならない並行プロセスです。使用者はまず、その職務をベトナム人で充足できない理由を労働当局に説明し、次に労働許可証を申請し、そのうえで初めて契約とビザまたは一時居住カードが続きます。各段階に固有のリードタイムがあり、順番に進みます。
先に雇って後から整えるやり方が問題を生む経路です。許可なく就労する外国人は本人と会社の双方をリスクにさらし、その是正には順番どおりに進めるより長い時間がかかります。
自社で回すべき場合と、そうでない場合
従業員がおおむね十名以下なら、給与業務は表計算ソフト一枚と規律あるカレンダーで足り、多くの会社は外部の会計事務所とともに回しています。それを超えたとき、あるいはシフト勤務、外国人スタッフ、変動歩合、複数拠点が生じた時点で、失敗の代償は高くつき、専任の給与プロセスがコストに見合い始めます。
法人の人員が揃う前に検討する価値がある選択肢がEOR(名義上の雇用主)です。体制を整える間、雇用に関する事務を引き受けます。すでに法人があるなら名目額で安くなるわけではありません。人事機能ができる前に採用を始めるための方法にすぎません。
60日間のチェックリスト
契約類型と試用期間を決定。グロス基準で賃金構成を合意。30日以内に保険を登録。最初の給与計算前に税番号と扶養家族を登録。組合基金を設定。賃金テーブルを作成。基準に達したら就業規則を作成し登録。初日から勤怠と休暇を記録。外国人が署名する前に労働許可の手続を開始。
どれも難しくはありません。すべてが期限に左右され、その期限は人事の仕組みが整った日ではなく最初の署名から始まる、というだけです。
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