ベトナムにおける配当と管理料の使い分け

外国企業にとってどちらが良いのか
ベトナムで事業を営む外国企業は、同じ問いを何度も口にします。利益は配当で取り出すべきか、それとも本社が管理料や役務対価を請求すべきか。
どちらも適法ですが、税務上の扱い、書類の要件、調査リスク、時期が大きく異なります。選択を誤る、あるいは計画なく両者を混ぜることは、更正処分と加算税のよくある原因です。
ひと目で分かる比較
| 観点 | 配当 | 管理料 |
|---|---|---|
| 性格 | 利益の分配 | 営業費用 |
| 時期 | 年度終了後 | 年間を通じて |
| 法人所得税への影響 | 納付後に支払う | 課税所得を減らす |
| 付加価値税 | なし | あり、通常10% |
| 移転価格リスク | 低い | 高い |
| 調査での注目度 | 中程度 | 高い |
| 書類の負担 | ほどほど | 重い |
| 資金繰りの柔軟性 | 低い | 高い |
まとめると、配当は安全、管理料は柔軟だがリスクが高いということです。
配当とは
配当は、ベトナム法人が外国株主に税引後利益を分配することです。法人所得税が確定して納付され、監査済みの財務諸表が整ったあとにのみ支払えます。基準は税引後の純利益で、繰越欠損金が相殺されます。支払いには株主または取締役会の決議が必要です。配当は利益の結果であって費用ではありません。
配当の税務
法人所得税20%は配当の前に納付します。法人所得税を納めていれば、外国投資家への配当に追加の源泉徴収は通常ありません。ストラクチャーによっては租税条約が適用されます。配当は概して税務上は効率的ですが、時期が遅くなります。
配当の長所と短所
長所:調査リスクが低く、法的枠組みが明確で、付加価値税がかからず、扱いが予測でき、税務当局に好まれます。
短所:年度終了後にしかできず、監査の完了が必要で、年の途中では柔軟性がなく、利益が出ていることが前提です。
管理料とは
管理料または役務対価は、海外の親会社や関連者がベトナム法人に提供した役務に対して請求する金額です。戦略的な管理、財務や人事の支援、IT やシステムの支援、マーケティングやブランドの役務が典型です。これは利益の分配ではなく営業費用です。
管理料の税務
法人所得税では、要件を満たせば損金として認められ、ベトナムの課税所得を減らします。付加価値税は通常10%で、リバースチャージや源泉の仕組みが適用され得ます。役務の性質と構造により源泉徴収税がかかることもあります。管理料には複数の税が層をなして関わります。
移転価格のリスク
管理料はベトナムの税務調査で最も争われる項目の一つです。当局は、役務が実際に提供されたか、ベトナム法人が実際に便益を得たか、価格が独立企業間原則に沿うか、書類が実体を裏づけるかを見ます。グループの方針というだけでは不十分です。
管理料の長所と短所
長所:年間を通じて資金が回り、課税所得を減らし、設計が柔軟です。
短所:移転価格リスクが高く、付加価値税と源泉徴収が複雑で、書類の負担が重く、調査で頻繁に否認されます。
調査でよく起きる結果
当局は費用の一部または全部を否認し、損金不算入に組み替え、法人所得税を遡って再計算し、加算税と利息を課すことがあります。実体が弱ければ、管理料は全額否認されることも珍しくありません。
配当が適する場合
利益が安定し、調査リスクを抑えたく、資金回収の時期が切迫しておらず、単純な遵守を好み、予測できる結果を望むときです。配当は基本にして最も安全な方法です。
管理料が適し得る場合
役務が実在して文書化され、金額が実際の価値を反映し、しっかりした移転価格文書があり、年間を通じた資金が必要で、グループ構造がそれを支えるときです。その場合でも、専門的な設計は欠かせません。
両方を使えるか
使えますが、慎重に。範囲が限定され明確な役務にのみ管理料を用い、残る利益は配当で取り出す企業もあります。管理料を使いすぎると、調査リスクは大きく上がります。
よくある誤り
- 利益を非公式に取り出すために管理料を使う
- 役務契約がない
- 役務提供の証拠がない
- 比較対象の分析がない
- 請求を当然のことと考える
- 計画なく配当と管理料を混ぜる
これらは全額否認につながることが多い誤りです。
EOR だけで運営する場合
EOR のみで運営していれば、配当も管理料も、法人としての利益の取り出しもありません。EOR は費用のモデルであって、利益のモデルではありません。
推奨する実務
ベトナムの多くの外国企業には、配当を主たる利益回収手段とし、管理料は実体が確かなときにだけ限定的に用い、移転価格文書を毎年整え、税務と会計と銀行の計画をそろえることをお勧めします。
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